レッスンあれこれのお話



練習曲(エチュード)について
 
曲を弾くのは楽しいけど、ウォルファールトやカイザーなどの練習曲やセビシックはきらい。なんて言ってると上達しません。いくら楽しい曲でも練習曲やセビシックで力を付けておかないと 弾きたいように指や弓が動いてくれません。変な弾き方でも気がつかなかったりします。
練習曲とセビシックをしっかり練習しましょう。


レッスンで弾く曲について
 身についたテクニックの範囲で、時代や作曲者や様式の違う曲を、なるべくたくさんどんどん弾くことで、力がつくと考えています。年に一度の発表会の曲は3ヶ月ほどかけて仕上げますが、それ以外は同じ曲にそれほど時間をかけないようにと思っています。

曲の楽譜は、エチュードの進度に合わせてコピー譜をお渡ししていますので、購入の必要はありません。
なるべくおもしろく弾けて、いろいろな弾き方が覚えられるもの、たいくつにならないものを、国内外の学習者用曲集その他の中から、指導者の立場から吟味して選んでいます。

大人のレッスンについて

 趣味で楽しみたい大人のかたも、安易に簡単にした同じ曲を何ヶ月も練習するより、結局は練習曲をやりながら、弓の使い方や指の置き方、譜の読み方などを、基礎からきちんと習いつつ、その時々のレベルに合った曲をたくさん弾いてゆくをほうが、早道だと思います。
 カイザー・レベルを終わるころには、アマチュアオーケストラで弾いて楽しむ力はついているはずです。
(大人のレッスンには基本的にソルフェージュは含みません)
   
読譜について

 知らない曲でも譜を読んで一応音にすることができる。これが読譜力です。この訓練は早いうちから始めたほうがよいと思います。

  バイオリンの読譜とは、ト音記号でドレミがわかるだけではなく、
・音符を見て、指板上の指を置く位置が頭に浮かぶこと、
・リズムを理解し、弓の速度と弓の量
(どのくらい使ってひくか)と弓位置(どの部分でひくか)を正しく判断すること、
・そして周りに書いてある音符以外の指示記号を見る、

という3つのことを、バイオリンを弾きながら、同時進行でやることです。つまり、いま弾いているるところはひきながら、次に弾くところを視界に入れてこれからどう弾くか予定を立てるわけです。

大変なようですが、リズムも音程も単純な初歩のうちから徐々に慣らしていけば、できるようになります。
そのために、指の位置と音程の関係を理解することはもちろんですが、音符のリズムを見て、自分がこれからどういうリズムをひこうとしているのかが、パッと頭に浮かぶようになること。これが、意外と大切です。(リズムによって弓の動かし方が違うので。)

 読譜力は徐々についていくものですが、譜読みが速くなれば、自宅での練習も短時間で、効率よくできるようになりますし、どんどんいろんな曲をひくことができます。

 「ぼくは きのう やまへ いきました。」という文章を、字を覚えたばかりの子はとつとつ拾い読みしますが、おおきくなるといつのまにか、きちんとかたまりごとに区切ってスラスラと読みますね。あれと同じです。

 「先生に弾いてもらわなければ弾けない」、とか「CDでどんな曲か聴かなければ弾けない」というのでは使えません。たとえば、お友達と合奏しようとか、学生オケや市民オケで弾きたいと思っても、パート譜が読めなければどうしようもありません。合奏のパート譜というのはメロディーの部分と伴奏に回る部分とでできており、覚えて弾く必要はなく、その代わり、ある程度はその場でさっと音のしてみること(初見の力)が要求されます。

 初めて弾くソロの曲の場合も、まずは楽譜を見ながら一応どんな曲か自力で弾いてみる力が必要です。そこからイメージを膨らませてみて、その後CDを参考に聴いたりしながら曲を仕上げてゆくわけです。

 ただし、楽譜はあくまで記号であり、音楽ではありません。その楽譜からどのくらいイメージを膨らませて、その曲らしく弾けるかは、本人の想像力、経験、知識しだい。しかしながら、まずはその記号を正しく読み取って正確に音に置き換える作業が不可欠なのです。


ヴィオラのレッスンについて
 ビオラはバイオリンより少し大きく、5度低い音から始まるので、楽譜はト音記号ではなくハ音記号を使います。(初めはハ音記号だけですが、レベルが上がるとハ音記号とト音記号両方使います。)
この譜の読み方は、少しやれば覚えてしまいます。奏法は基本的にはバイオリンと同じですが、「ビオラらしい音」を出すのがむずかしく、そのため若干バイオリンとは違った弾き方をします。

 バイオリンはもうこれ以上は考えられないほど完璧な楽器で、容易に響く音が出せるし、発音も早いので、細かい音符が並んだところもクリアに弾けますが、ビオラはそううまくいきません。ビオラはこの音域なら、もう少し大きくなくてはいけないものを、それでは手が届かないので、無理に小さくしてある不完全な楽器です。そのため、うまく響かせるためにバイオリンとは少し違うやり方をするのです。

 「バイオリンが弾けたら、ハ音記号さえ覚えればビオラは弾ける」とか「ビオラは、合奏のパート譜も簡単だから楽だ」とかいう安易な気持ちで「バイオリンみたいに」ビオラを弾いている人もおりますが(私もかつてはそうでした・・・)、これは大間違い。
 ビオラの魅力はその深く暖かい音色にあり、私はこの楽器が大好きです。こういう音に惹かれる気持ちがあって、根気のある方、裏方仕事も楽しいという方は、ビオラに向いていると思います。

レッスンの進め方はバイオリンとほぼ同じです。スケール・セビシック・エチュード・曲の4本立て。曲は、国内版の教本には進度に合わせたビオラ用の良いものが少ないので、私がバイオリンの曲をビオラ用に直したものや、アメリカのビオラ学習者用曲集の中から選んだものを、コピーしてお渡ししています。

テクニックと音楽について
  いくら高度なテクニックを身につけても、音楽的に弾くセンスがなければ人を感動させることはできませんし、逆に、いくら音楽的センスのある人でもテクニックが伴っていなければ結果は同じです。

バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスといった弦楽器は、ドとかレとかのキーがあるわけではありません。自分で音程をとる楽器です。それゆえの難しさがあるわけですが、一方で、キーがないからこそ、音にビブラートをかけたり、ある音から次の音に音程を滑らせたりなどいろいろな表情をつけられるのです。

ただ、こういう決定的にピアノなどとは違う「音程は自分でとる」という特質のため、テクニック不足の結果は、かなり(ピアノより)悲惨なものになります。いくら音楽性のある人でも、「こうひきたい」と思っても、テクニックが伴わなければ、結果としてほかの人が聴いて「いい曲ね」とか「いい音色ね」とはならないのです。(音程の悪いピアニストはありえませんが、バイオリニストはありえます。)

レッスンと自宅練習について
 
読譜はバイオリンをひく上でとても大事なことですが、すべてではありません。譜を一応音にできても、ただの棒びきにならないために、どうやったらきれいな音や、楽しげな音や、やさしい音、その他いろいろなその曲のもつ雰囲気を出せるか、ほかにも譜を見てもどこにも書いてないことがいろいろとあるので、それは教わらなければなりません。

 また、バイオリンを習うということは、頭で理解し考えると同時に、耳を敏感にすること、もうひとつ体に、ある種の動き(日常生活ではやらない動き)をインプットすることでもあるので、自宅での繰り返し練習がたいせつというわけです。
「1日どのくらい練習すればいいのですか?」とよくきかれますが、これは答えに困ります。
だらだら2時間やるのと、集中して1時間やるのとでは、後のほうがいいし、プロになりたいなら、1日4時間以下というのは多分少ないでしょうが、アマチュアで楽しみたいというのであれば、毎日1時間集中してやれば十分だと思います。(ただし、小さい子供の場合は毎日15分くらいから徐々に習慣にして、時間を伸ばしていくのが良いと思います)

 
もうひとつ、いくら長時間練習しても、練習の仕方を間違うと、いくらやってもなかなか上達しません。どこに問題があるかは、個々のケースでまちまちです。それをレッスンで教わって、なるべく無駄のない練習ができればベストというわけです。